絵本作家はどんな仕事道具を使っているの?

作家さんによって使う道具は様々

絵本の中でも、特に絵を描く作家さんは、さまざまな道具を使って仕事をしています。
作家さんにより、使う道具は様々です。
全てを手描きの人もいれば、パソコンだけを使って描く人や、その両方を使う人もいます。

パソコンを使っての仕事

まだパソコンが今ほど普及していなかった時代には、絵筆などを使って描かれた作品がほとんどでした。

しかし、現代ではパソコンを使った作品も増えています。
パソコンを使う場合には、イラスト制作の専用ソフトやスキャナ、印刷機も使用します。

プロのデザイナーや写真加工の世界でよく使われる有名なソフトに、アドビ システムズ株式会社の『Photoshop』 や『Illustrator』があります。
いろいろなことができ、とても便利なソフトではありますが、設定のカスタマイズが必須なので、お絵描きソフトやデジタルに慣れた中級者以上の方でないと、使いこなすのは少し難しいかもしれません。

株式会社セルシスの『CLIP STUDIO PAINT PRO』や株式会社SYSTEMAXの『ペイントツールSAI 』も人気です。

作品を描く目的と、必要な機能を考えて、もしも無料で試せるのであれば、先に試して自分の使いやすいものを購入すると良いでしょう。

機能は有料のものより少なくなるかもしれませんが、無料ソフトもあります。

手描きで作品を作る絵本作家がよく使う道具

●鉛筆・色鉛筆

自分の筆圧に合うものを使います。また硬い芯や軟らかい芯があるので、どこにどんな風に使うかで使い分けしましょう。

どいかやさんや黒井健さんなど色鉛筆を使って絵本を作る作家さんもいます。
黒井健さんは、色鉛筆を擦って粉にしてパラフィンで固められている色鉛筆の粉を、油絵の具の筆洗い液で溶かして、それを指先に巻き付けた布に付着させ、それを絵筆代わりに描くという手法です。

このように一つの道具でも、使い方の工夫で、いろいろなタッチの絵が描けるのです。

●消しゴム

プラスチック製消しゴムと、練り消しゴムの2種類があります。

練り消しゴムは消しカスが出ないことや、自由な形が作れるのが特徴です。
小さくちぎったり、細く伸ばしたりして、細かい所を消すことができます。ただ、消字性が低い
では、弱い筆圧で書かれたものを消すのには向いていますが、強い筆圧のものは消え切らないことがあります。

●ペン

つけペンには、カブラペン(タマペン)・Gペン・丸ペンがありますが、一本のペン軸でその3種類を使うことができます。

◇カブラペン(タマペン)

カブラペン(タマペン)は硬質なので、均一で滑らかな線を引くことができますので、初心者に向いています。

◇Gペン

弾力のあるペン先で、太い線から細い線までこれ一本でひくことができます。
迫力のある線を描くときにはこのペンが必要です。

◇丸ペンは、細い線を描けるので、服のしわなど細部に使うと良いでしょう。

●紙

画用紙、水彩紙、ケント紙、PMパッドなど、たくさんの種類の紙があります。何を使って描くかによって、それに適したものを使います。

ケント紙は、比較的厚手でインキがにじまず,消しゴムで消しても毛羽立ちません。

PMパッドの名前は、パステル(Pastel)とマーカー(Marker)からきているように、パステルとマーカーに適していますが、マーカーが滲(にじ)みにくいという特長から、プロダクトデザインにおけるレンダリングや、イラストレーションでもよく使用されます。

●パステル

カッターナイフ等で削って粉末状にして、スポンジ等で塗ったり、直接手で持って塗ったりして使います。グラデーションを表現する際によく使われます。

●マーカー

大きく「水性」と「油性」の2種類があります。
有名なものにコピックというアルコールマーカーがあります。豊富な色数と発色の良さが特徴で、乾きが早く、塗ってもにじみにくいマーカーです。

ぺんてる水性サインペンシリーズは、水に濡れても流れにくい、耐久顔料インクのサインペンです。色あせにくく、水に濡れても文字がにじみにくいという特徴があります。

油性マーカーの定番「マッキー」は、紙・布・木・ダンボール・ガラス・プラスチック・金属・ビニール類などたくさんのものに描くことができます。

●絵の具

油絵具、水彩絵の具、アクリル絵の具などたくさんの種類があります。水彩絵の具も透明水彩用、不透明水彩用(ガッシュとポスターカラー)と種類が分かれます。

●筆

細い毛先のものから、面を塗ることができる平らな毛先のものなど、種類はさまざまです。
合成繊維の筆もあれば、セーブル(黒テン)や馬毛、リス毛などの筆などもあります。

●パレット

絵の具をのせるために使用します。

作家さんの使う道具をご紹介してきましたが、自分がどんなタッチの絵を描きたいか、それにより紙や道具を選びましょう。ネットや画材屋さんの店員さんに聞くなどして、それぞれの特徴を知っておくといいですね。