パステルってどんなもの?
乾燥させた顔料を粉末状にして粘着材で固めた、チョークのような画材です。
やわらかい絵を描くのに適していて、水が必要ないので手軽に使えるのが特徴です。
粘着剤が少ないので、こすったり、のばしたり、ぼかしたりできますが、他の絵の具のようにパレットの上で混色できないため、沢山の色数があります定着力が弱いので、作品完成後は『フィキサチーフ』と呼ばれる専用の定着スプレーをかけて保存します。
どんな種類があるの?
ハードパステル
ハードパステルは、顔料を少し多めの粘着剤で固めた、硬めのパステルです。
四角柱の形をしたものが多いので、角を使って線を描いたり、面を使って広く塗ったりできます。硬いので、シャープな線を描くことができます。
ソフトパステル
ソフトパステルは、顔料を最小限の粘着剤で固めた、柔らかめのパステルです。
円柱形のものが多く、色の乗りや伸びが良く、発色もキレイですが、少し触っただけで手に粉がつきます。
広々とした風景画を描くのに向いている反面、細かい輪郭やエッジのきいた部分の表現は苦手な画材です。
「ハードパステル」「ソフトパステル」ともに、折れやすいので、取り扱いには注意しなくてはなりません。
パンパステル
ファンデーションのような丸いケースに入っているので、折れる心配がありません。
色の伸びがとてもよく、スポンジやパフなどを使って色をのばしていきます。
ハードパステルやソフトパステルでは出せないはっきりした色を表現することができます。
パステルペンシル
顔料を多く含んだ柔らかい色鉛筆のようなもので、パステルと色鉛筆の中間のような画材です。細い部分を描くのに使います。
オイルパステル
顔料をワックスと油分で固めた、パステルに定着力を加えた画材です。
クレヨンに近く、クレパスもオイルパステルに含まれます。
重ねて塗ることができ、何重にも色を重ねて指などを使ってぼかすと、油絵で描いたような雰囲気を出すことができます。
初心者はパステルの中でも特に扱いやすいソフトパステルがいいでしょう。
安全性を確認するにはどこを見ればいいの?
APマーク
人体に無害で安全だと認められた工芸材料に与えられるマーク
CPマーク
人体に無害で安全な上、品質が良いものに与えられるマーク
CLマーク
有害性のある材料が用いられているが、適切な扱いをすれば安全に使用することができる材料に与えられるマーク
×マーク
一般的に有害性があり、使用にあたってリスクを伴う可能性があるものに与えられるマーク
このようなマークがついていますので、購入する際にはそこをチェックし、取り扱いには注意しましょう。特に、小さなお子さんやペットを飼っていらっしゃる方は、口に入れてしまわないよう、要注意です。
どんな紙が適しているの?
ホワイトワトソン紙
発色が良く、自然の白さを持っていて安価で手に入りやすい紙です。描くときに、強くこすったり、何度も消して描き直すと表面が毛羽立ってくることがあります。
マーメイド
カラーバリエーションが豊富な紙で、柄が、さざ波模様になっています。表面が比較的粗く、退色しにくいので長期保存したいときにはお薦めです。
ミューズケナフ
紙質はホワイトワトソンとほとんど同じです。植物パルプのみを使用しているので、黄みがかった白色をしています。
マルマン画用紙
安い上に、厚みも薄口〜得厚口まで多くの種類があります。表面の強度はホワイトワトソン、ケナフには劣りますが、扱いやすい点で、初心者には向いています。
あると便利な道具たち
練り消し
消したいところを消すという、本来の消しゴムとしての役割のほか、背景をぼんやりと消したりするときにも使います、
制作中に手についたパステルを落としたいときには、お手拭き代わりにもなります。
変わった使い方として、絵を壁に貼り付けるときに両面テープの代わりに使うこともあります。
マスキングテープ
紙の四方を固定するために使用します。セロハンテープより粘着力が弱いので、はがしたときに紙を痛めません。
綿棒
細部を描くときに使います。普通のものや赤ちゃん用の細いものなどがあり、使い分けることにより線の太さの違いを出すことができます。
コットン
広い画面にパステルを広げるときに使用します。化粧用のものより医療用の脱脂綿のほうが、もこもこしていて使いやすいです。
フキサチーフ
パステルは定着力が弱いので、この定着材を使用してパステルを固定します。これを使用しないと、絵に触れたときに、パステルが指や服についてしまいます。
パステルを使って描かれた絵本にはどんなものがあるの?
「うきわねこ」 作: 蜂飼 耳 絵: 牧野 千穂 /ブロンズ新社
「となりにきたこ」作・絵:岩崎ちひろ /至光社国際版絵本
「戦火のなかの子どもたち」作・絵:岩崎ちひろ /岩崎書店
絵本を手にしたときに、これは何を使って描かれたのかなと見てみるのもいいですね。
なんと、ちひろさんは51歳で初めててパステルを使い始めたそうです。
ぜひパステルも使ってみて、自分に合った画材かどうか試してみてください。